保険診療・自由診療について考える事 1

  • 2007年03月05日(月)

長年の友人であり、かみ合わせ治療のみならず様々な指導を頂いている静岡県開業の K先生が
4月一杯で保険医療を辞め、自由診療のみで仕事をするという報告が仲間内のメーリングリストにあった。

勇気ある決断に拍手!とか 私も後に続けるよう頑張ります!とか うらやましい!とか・・・

日頃 保険診療に従事している歯医者仲間達からの声を見聞きすると、みんな保険診療に満足しているんじゃないと痛感する。

現在の健康保険は昭和34年に発足した。
それから50年近い時が経過する間に、治療技術も材料も社会も大きく様変わりしたが、
保険治療で決められた治療内容はほとんど変わっていない。

保険点数は2年ごとに改訂されるが昭和58年の改訂以来マイナス改訂が続いている。

先日私の母親の入れ歯の具合が悪くなり、歯科技工士の兄と休診日に入れ歯の調整を行った。
2時間半歯科医師と歯科技工士がかかりっきりで一人の患者の治療に当たる事が保険でできるだろうか?



保険ではどれぐらい頂けるのだろう?
初診料1,800円 義歯調整料 1,000円 粘膜調整料 1,100円 
合計3,900円也
治療時間を2時間に切り捨てたとして、二人で一時間の時給は2,000円・・・
いやいや
一箱約四千円の入れ歯の適合具合を見る材料を一箱使ったのでそれだけで赤字だ!

国家資格のある専門家の時給がなんとゼロ・・・

しばらくは良かったが、また少し調子が悪いというのでもう一度休診日に調整を行った。

今の保険では義歯調整は一ヶ月に一度だけしか点数が算定できない。
粘膜調整も算定できない。
2回目の保険医療費は再診料380円のみ・・・

我が母親だから経済的なことなど気にせず十分な時間と手間と材料をかける。

他の患者さんにも同じようにやりたいと切実に思うが、それでは医院経営が成り立たない。

一般の患者にはどうしているかと言えば、予約時間の一単位15分以内で終わる。
それでも大赤字・・・

この事を正直に患者さんに言うと「高齢者が増えてゆく時代なのに国のやる事は時代に逆行している」と
怒る方があったが、医療費を抑制したい国としては高齢者が増えてゆくからこそどんどん切り捨てているのであろう。
その老人は「国は国民のことをもっと大切にするべきだ」と言っておられたが今の政治・行政を見ていると
この国をリードしている人たちは、国民のために国があるのではなく、国のために国民がいるとマジで考えているのではないだろうか?

これからますます歯科医療の切捨てが進めば、いずれ入れ歯は保険治療から外されるだろう。

お金の無い人は入れ歯を入れることが出来なくなる時代がすぐそこまで来ている!

若くても歯周病や虫歯が進んでいる患者さんで10年後・20年後大変な苦労をされるだろうと感じる方に
一生懸命説明し、定期健診の案内をしても次第に来院されなくなる方がある。

本当に困ってから後悔する方を数多く診て来た。

自己責任・国はこの言葉を錦の御旗に弱者を本当に切り捨てて行く。

あなたはそれでもいいですか?

一回では書ききれないので続編に続く・・・