口から食べることの大切さ

  • 2006年12月22日(金)

介護の現場などの報道で、入れ歯が合わないと言って食事の時テーブルに入れ歯を出して食事している老人の姿を見ることがある。

先日久しぶりに来院された80歳の婦人は「もう年だから新しい入れ歯を作ろうとも思っていなかったが、部分入れ歯を支えている歯が抜けてしまって、すぐはずれてしまいます。会の世話役をしているので格好が悪いから新しい入れ歯を作ってください」と言っていた。

格好さえ繕えればいいのだろうか?

歯医者に成り立ての頃、叔父の歯科医院に勤務していたが、同じようなことを言う老人がちょくちょくいた。

「もう歳だから保険の入れ歯で結構です」と言う老人に、院長の叔父は決まってこう言っていた。
「もう歳だからこそ、いい入れ歯が必要なんじゃないか、その歳でいまさら恋愛も出来ないし、歳を取るとしっかりおいしく食べる事がとても重要なことじゃないの、お金を持って墓には入れないよ」と冗談交じりに言っていた。

先日友人から聞いた話で叔父の言っていた事を思い出した。

点滴で栄養を血管に注入しても1日1500キロカロリーしか体の中には吸収されないそうだ。
それ以上は全部排泄されてしまうらしい。
だから普通食が食べられない人にはミキサーでどろどろに潰した食事を与え、それすら食べられなくなったら、胃に穴を開けてでも栄養物を直接胃に注入する。

消化器官に入った栄養物はあまり上限なく体内に吸収されるそうだ。

健康な老後を過ごすために、おいしく食べることができることは非常に大切なことではないだろうか?

残念ながら健康保険の制限の中で充分な入れ歯を提供する事は困難である。

「自費の入れ歯なんてもったいないから保険でいいです」と言われると、「自分の体になんて投資する価値がないといっているのと同じだよ」と言う有名な歯科医もいる。
「もっと自分を大切にしてあげましょう。」とその先生は患者さんに言う。

東京でも入れ歯名人として有名なその先生の入れ歯は
上下総入れ歯で総額280万円なり。
医院に見学に行ったときこんな光景があった。
「帰って主人に相談しなければ決められない」というご婦人に「よしわかった、いい入れ歯を作ってもらえ」とご主人が言ってくれたらそれだけ愛されている証拠です。
もし駄目だというなら、これまでの夫婦関係の結果かもしれないね。
と平然と言うその先生の言葉にびっくりした。
今までそんな考え方をしたことがなかったが、一面ではそういう考えもあるのか・・・


夫婦関係まで入り込んでいく気はないが、もう少し自分の体・自分の健康を大切にした方がいいと思う患者さんの多い事・・・


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